佐倉高校記念館 (国登録有形文化財)

  佐倉高校記念館は、1910(明治43)年、旧佐倉藩主堀田正倫(まさとも)公の寄付により、県立佐倉中学校本館
 として建築された洋風木造校舎です。
  現在でも、校長室、事務室など、学校の管理棟として使用されているため、内部は非公開です。
  2005(平成17)年7月12日、文化庁の「登録有形文化財」に登録され、2010(平成22)年には建築100周年を迎えま
 した。

               

 1.建物の概要 
    

  ○ 建築工事は、1909(明治42)年12月23日に地鎮祭、翌年2月5日に上棟式、と順調に進み、4月28日には
  新校舎で初めての授業が行われ、11月10日に新校舎の落成式が挙行されました。
  (佐倉高校では11月10日を「創立記念日」と定めています。)

                

  ○ 建物の特徴は、正面中央を強調するため、玄関ポーチの欄間に桜の透かし彫りを飾り、2階屋根中央に
   丸窓付きの屋根窓、左右に小型ドームの双塔、最上部の大棟に換気塔を配し、スティック・スタイル(注1)で
   まとめています。
   また、建物両端部の切妻にはハンマー・ビーム(注2)の妻飾りが付き、外壁はドイツ下見板張り(注3)です。
  (注1) スティック・スタイル … 柱を外面に出して強調する様式
  (注2) ハンマー・ビーム  … 壁面の上端などで水平に梁をはね出し、アーチで支える手法
  (注3) ドイツ下見板張り … 板を横張りにし、重なる部分を加工して表面に段差が出ないように張る。

 
       


       

       
 

  2.記念館として保存
   明治、大正、昭和と多くの生徒が勉学に励んだ学び舎は、昭和40年代に入ると老朽化が著しく、鉄筋校舎へ
  の建て替えも検討されましたが、1972(昭和47)年、明治期の木造建築が希少であることから、県、鹿山会、
  PTA、学校関係者の合意により、記念館として「保存」されることとなり、その後も数度の保存修復工事が実施
  されました。
   2005(平成17)年7月12日、文化庁の「登録有形文化財」に登録され、大切に保存されています。

  

 
        


                         平成21年度修復前の腐食した土台

       


       

            
   (建築100周年)
    
2010(平成22)年7月31日、鹿山会が「記念館建築100周年記念式典」を佐倉市内のホテルで挙行し
  、「佐倉高校記念館落成100周年記念誌」 を刊行しました。
  同記念誌は、地域交流施設にて販売中です。(1冊500円) 


       

       
 
          
   3.設計者・久野 節(くのみさお)
 
    


      
          ※ 現存のものを中心に掲載した。 (平成23年1月末日現在)