佐倉高校記念館 (国登録有形文化財)

佐倉高校記念館は、1910(明治43)年、旧佐倉藩主堀田正倫(まさとも)公の寄付により、

県立佐倉中学校本館として建築された洋風木造校舎です。

現在でも、校長室、事務室など、学校の管理棟として使用されているため、内部は非公開です。

2005(平成17)712日、文化庁の「登録有形文化財」に登録され、2010(平成22)年には建築100周年を迎えました。


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                      玄関中央部分            堀田正倫公の像(記念館前)
        

1 建物の概要

竣工

1910 (明治43)

設計

久野 節 (くの みさお)、 後藤 政次郎

施工

島崎  留次郎

構造

木造2階建て、銅板葺き

建築面積

691u


○ 建築工事
は、1909(明治42)1223日に地鎮祭、翌年25日に上棟式、と順調に進み、
428日には新校舎で初めての授業が行われ、1110日に新校舎の落成式が挙行されました。

(佐倉高校では1110日を「創立記念日」と定めています。)


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 落成式 (明治431110)

○ 建物の特徴は、正面中央を強調するため、玄関ポーチの欄間に桜の透かし彫りを飾り、2階屋根中央に丸窓付きの屋根窓、左右に小型ドームの双塔、最上部の大棟に換気塔を配し、スティック・スタイル(1)でまとめています。

また、建物両端部の切妻にはハンマー・ビーム(2)の妻飾りが付き、外壁はドイツ下見板張り(3)です。

 (1) スティック・スタイル … 柱を外面に出して強調する様式

(2) ハンマー・ビーム  … 壁面の上端などで水平に梁をはね出し、アーチで支える手法

(3) ドイツ下見板張り … 板を横張りにし、重なる部分を加工して表面に段差が出ないように張る。



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    スティック・スタイルでまとめた    中央の換気塔(サイレン塔)とドーム     
    中央部分

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          ポーチの桜の透かし彫り       ハンマー・ビームの妻飾り

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             校章のレリーフ          ドイツ下見板張りと1階扉


2
記念館として保存

明治、大正、昭和と多くの生徒が勉学に励んだ学び舎は、昭和40年代に入ると老朽化が著しく、鉄筋校舎への建て替えも検討されましたが、1972(昭和47)年、明治期の木造建築が希少であることから、県、鹿山会、PTA、学校関係者の合意により、記念館として「保存」されることとなり、その後も数度の保存修復工事が実施されました。

2005(平成17)712日、文化庁の「登録有形文化財」に登録され、大切に保存されています。

主な保存修復工事

1974 (昭和49)年度

戦後改造された玄関部分の創建時の姿への復元を含む、内外装の改修工事を行い、「記念館」として甦りました。

1989 (平成元)

木造建物への荷重を軽減するため、屋根葺き替え工事を行いました。(石製スレート瓦 → 銅板葺き)

2009 (平成21)年度

腐食した土台の補強、外壁塗装の創建時への復元などの保存修復工事を行いました。



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        案内板(記念館前)         国登録有形文化財のプレート


                     平成21年度修復前の腐食した土台

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   (
建築100周年)

2010(平成22)731日、鹿山会が「記念館建築100周年記念式典」を佐倉市内のホテルで挙行し、「佐倉高校記念館落成100周年記念誌」を刊行しました。

同記念誌は、地域交流施設にて販売中です。(1500


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     記念館建築100年記念式典       記念館落成100周年                        
      (平成22年7月31日)           記念誌(A4判28頁)


3
設計者・久野(くの) (みさお


                   
              久野節は、明治40年に東京帝国大学を卒業し、 千葉県に就職した翌々年
              に県立佐倉中学校の設計を担当しており、その後、鉄道院へ移り、多くの鉄道
              施設の設計に携わりました。

    退官後は、鉄道省嘱託として、さらには、久野建築事務所を設立し、多くの
     作品を残しました。



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   晩年の久野 節

略 歴

1882 (明治15)

元岸和田藩士の長男として生まれる。

1907 ( 同40)

1909 ( 同42)

東京帝国大学建築学科を卒業後、千葉県技師となる。

佐倉中学校本館(現佐倉高校記念館)の設計を担当。

1911 ( 同44)

1920 (大正9)

1924 ( 同13)

 

鉄道院の技師となる。

鉄道省の初代建築課長に就任。

停車場視察のため欧米に派遣。

この間、多数の駅舎、鉄道病院、鉄道工場などの設計に携わる。

1927 (昭和 2)

1941 ( 同16)

退官。 鉄道省嘱託、久野建築事務所を設立

事務所閉鎖

1948 ( 23)

戸田建設相談役

1962 ( 同37)

80歳で逝去

主要作品

1909(明治42)

佐倉中学校本館 (現佐倉高校記念館)

1929(昭和4)

大阪鉄道病院

1930(  同5)

南海ビルディング (南海難波駅/高島屋大阪店)

1931(  同6)

東武鉄道浅草雷門駅 (現東武浅草駅/浅草松屋)

近鉄宇治山田駅

1934( 同9)

蒲郡ホテル (現蒲郡プリンスホテル)










 ※ 現存のものを中心に掲載した。 (平成231月末日現在)